「計算はできるのに文章題になるとつまずく」とする児童や生徒は少なくありません。実は算数で身につける力は、大きく「知識・技能」と「思考・判断・表現」の2つに分けられます。そして、この2つには順序があります。
① 知識・技能 ―「土台」となる力
計算のやり方や公式、図形の性質などを覚えていて、実際に使える力です。算数の土台となる部分です。
- 九九を覚えている
- くり上がりのたし算ができる
- 面積の公式を使って計算できる
ドリルの反復練習で伸びやすいのがこの力です。まずはここをしっかり固めることが、次のステップの土台になります。
② 思考・判断・表現 ―「土台の上に立つ」力
身につけた知識・技能を使って、筋道を立てて考え、答えを導き、説明する力です。文章題や「なぜ?」を問う問題で必要になります。
- 文章題を読んで、どんな式を立てればよいか考える
- なぜその解き方になるのかを言葉で説明する
- ちがう解き方を比べて、よりよい方法を選ぶ
近年の全国学力学習状況調査でも、この「考えて説明する力」を問う記述式の問題で、多くの子がつまずくことが課題になっています。
そのため、「思考・判断・表現」の問題ばかりを練習させている先生や親も少なくありません。 しかし、「思考・判断・表現」の問題ができないのはそれだけが理由ではありません。
大切なのは「土台 → その上」の順番
この2つは対等に並ぶものではなく、知識・技能という土台の上に、思考・判断・表現の力が積み上がるという関係にあります。基本的な問題(知識・技能)ができなければ、それを使って考える応用問題(思考・判断・表現)はできないからです。
ですから、まずは基本的な知識を覚えたり、計算をくり返して土台をしっかり固めることが第一歩です。そのうえで「どうしてそう考えたの?」と声をかけ、考える力を伸ばしていきましょう。
面白いことに、基本問題が完璧にできるようになっただけで応用問題ができるようになった子もいたり、活動を通して「なぜこの計算になるのか」の理解が深まり、土台そのものもより強くなったりする場合があります。まずは土台を固め、その上で考える。この積み重ねが、算数や数学の本当の力を育てていきます。